2012/07/03

もうひとつのアカハラ?

この週末、某学会に行って来た。
この学会でも、年配女性の某先生を姿を見た
この先生、いつも一人で学会に足を運んでくる。

私とこの先生は、関心が少し近いせいもあって(あまり細かくいうと、この業界、すぐに特定
されてしまうので、具体的な専門分野についてはあえて言及しないでおく)、私が足を運ぶ
学会、そして参加する部会やセッションには、だいたいいつもこの先生もいて、ふと出くわす
ことが多いこの先生は、この業界では比較的有名な部類に入る先生である。

しかし、この先生は、学会で発表者に対して割と容赦のない厳しい質問を投げかける傾向が
あるので、私は個人的にこの先生を何となくあまり好きではなかったが、今回、そうした思いを
よけいに強くさせてしまう場面を見てしまったのだ。

ある若い院生の発表の場面。
最近は、院生といってもいろいろだが(学部からストレートで進んできた者だけでなく、
白髪交じりの風貌の明らかに中高年の院生もいる)、この報告者は前者のタイプ。
おそらく博士課程一年目か二年目くらいの院生と見えた。

この報告者の発表は、「100人を超える人にインタビューをした」といっているにもかかわらず、
それらの基本属性などの概要が示されていないこと、政府統計の分析が2005年頃で止まって
しまっていることなど、正直、私自身もちょっといまいちな発表と感じてのだが、何と、
この某先生が、この発表者に対して、こうした指摘も含めた厳しい質問をズバズバ投げかけ
始めたのである。

それだけなら、「この先生、ずいぶんきつい質問するなあ」で済む話である。この手の人は
どこの学会とかに行っても必ずいるものだろうし、別にどうってことない。しかし問題は、
その報告者がこの某先生の質問に答えた際に、おそらくその回答がこの某先生にとって
納得のいくものでなかったようで、この某先生は会場にいる他の参加者の目にも明らかに
分かるような素振りで、首を横に振って投げやりな態度を示し始めたことである。
こういうのって、今の時代、見方によってはアカハラに該当しかねない行為にも読み
取れるだろう。)

たしかに学会という場で報告する以上は、最低限の水準当然求められるだろう。
しかし、よく考えてみれば、相手は院生、つまりまだ学生なのである。ポスドクや
専任教員など研究歴の長い者と比較して、院生のそれ未熟なのは言ってみれば
当たり前のことであり、それを鼻っから「上から目線」のような態度で接するのは、
良識を疑わざるを得ない。たしかにその報告者の報告のレベルがその先生の目に
かなうようなものでなかったにせよ、その辺は多少差し引いてみるべきであり、
会場にいた他の参加者の中にも、同様の印象を持った人は少なからずいたに違いない。
これが同じ院生仲間の間で繰り広げられた展開なのならともかく、この場合、
報告者である院生の発表そのものの未熟さよりも、むしろこの先生の態度の方が
目立ってしまう形となってしまい、結果として問題視されかねない。

もし、「上から目線」のような態度を示すのであれば、その発表者を非難するような形で
質問するのではなく、発展的改善意見を提起するような教育的な配慮も含めた観点から
質問やコメントを投げかけるというのが、本来ではないか。学会で一定の評価を得ている
高名な先生であるならば、よけいにそうであってほしい。
あるいは、そのセッションが終わってから、その発表者のところに個人的に行くなりして、
そうしたことを指摘すべきである。そのくせに、この某先生、自分が「なかなか」と思った
発表者に対しては、そのセッションが終わった後、自分の名刺を渡しにいくのだから、
よけいに「なんだかなー」と思ってしまう。(こんな先生に、学会のコメンテーターだとか、
論文の査読なんかがあたってしまったら最悪。)

いくら研究者として一定の地位を確立している有名な先生でも、こういう先生は私は好きに
なれないし、尊敬はできない。自分は将来、こういう人にはなりたくないなあという感を
強くした今回の学会の一場面であった